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エンジニアの知的生産術

エンジニアの知的生産術

読んだ。

エンジニアの知的生産術 ──効率的に学び、整理し、アウトプットする (WEB+DB PRESS plusシリーズ) | 西尾 泰和 |本 | 通販 | Amazon

何で読もうと思ったか

知的生産って何だと思いつつも日常で行なっている業務とはただの労働であり、知的生産というものが所謂「仕事」と言えるんじゃなかろうか。とかなんとか感じちゃったりしたため。

この本についてこれから感想を書く人

特に意思もなく、言われたままに業務をこなす30歳のおっさん。システムエンジニア

どんな本?

章立てはこんなかんじ

  • 第1章 新しいことを学ぶには
  • 第2章 やる気を出すには
  • 第3章 記憶を鍛えるには
  • 第4章 効率的に読むには
  • 第5章 考えをまとめるには
  • 第6章 アイデアを思いつくには
  • 第7章 何を学ぶかを決めるには

読みながらふらふら考える

知的生産って何だ

知的生産とは、「知識を用いて価値を生み出すこと」であるとこの本では定義している。なるほど。とは言いつつも、うーん、何だかしっくりこない。つまりどういうことだろう。読み進めていくと、新しいものを学ぶステップとして「情報収集→抽象化→検証」の方法について解説が。まさにこのプロセスが知的生産で、それによって得られるものが価値のあるものではないか?と考える。

情報収集→抽象化→検証ってよく言うけれど、どういうこと?

朝、子供を保育園に送る時に必ずと言っていいほど、何だか形容し難い柄の生き物と真っ黒な生き物に出くわす。どっちもクチバシがあって、羽が生えていて、細長い2本足がはえている。要するにこいつらは鳥だ。こんなかんじで特徴を洗い出すのが抽象化であり、共通項をまとめた上でそれを鳥と名前をつけるのがモデル化というかんじだ。そして、モデルと例(カラス)が説明できれば、ぼくはそれについて「理解している」と言えるわけだ。最終的にはモデルの確らしさを検証する必要があるわけだけど、とりあえずこのプロセスが学ぶという行為なのだろう。本書では、このプロセスを第1章で解説している。

労働と仕事の差とは何だろう

僕は、この「情報収集→抽象化→検証」のプロセス自体が生産的行為であり、この営みの有無が仕事か労働かを分つものなのだろうと認識した。技術者としては、ある方式の実装方法を身につけたりあるミドルウェアの設定方法を理解したりということに拘りがちで、(もちろんそれは大事なことで、何もできなければ話にならないわけだが)あくまでそれは手段を増やしているにすぎないし、例えるなら空いた穴を塞ぐだけだ。仕事って、モデルを生み出すことなのではないだろうか。「特徴をまとめて名前をつけたもの」があった時に、それが世の中の役に立つものについてであったとしても、何らかの問題であったとしても、これを起点に具体的なものを作ってみたり、解決策を考えてみたりできる(本書では、これをjavaのインタフェースと例えていたりする)。価値を生み出すことを仕事というなら、モデルを生み出すことがそれに相当すると思える。

どうやって情報を得ていけば良いのだ

何から始めりゃいいんだよ。という話である。情報収集だ。そして、情報収集といえばその代表格は本だ。ここでやってしまいがちなのが、1ページ目から読み進めてしまうこと。本書では「目的を持って読め」とある。本に求めるものがはっきりしてたら、1ページ目から読むということはしないし、真っ先にその答えを求めにいくだろう。また、それについて全体のイメージが見えてなければ、大雑把に全体を掴めとある。つまりは目次や各章節の見出しを把握せよということだ。この2点を守るだけで読書(情報収集)の質は上がるんじゃないか。

僕は目の前の積読にどう対処していけば良いのだ

何を以て、その本を「読んだ」とするのか。個人的には、本書にある「レバレッジ・メモ」が有効だと思った。メモに、ええやん!と思った情報を抜き取っては書き連ねていく方法だ。この行為によって、その本に自分が求める情報と、それを理解する組立てが補完される(その後時間経過によって、メモの中の重要度などがぼやけていくことは対策が必要だが)。ただ何となく文字を追うのではなく、このように自分にとって有用性のある情報を書き留め、思考を紙に掘り下げ組み立てるという行為によって、目の前の積読を消化していけばいいんじゃないか。

誰におすすめしたい本?

アウトプット(ともすれば仕事)の価値って何だろう。それはどのようなステップって出力できるんだろう。という疑問に対する答えが書かれている。この辺りで悩んでいる人は読んでみることをお勧めする。知的生産ノウハウ本はいくつかあるが、タイトルの通り特にエンジニアにフォーカスが当てられた本なので、エンジニアはとっつきやすいと思う。